プリンセスゆみの世界巡航記

ゆみと姉の祥恵は、フランスの造船所で製造した40フィートのカタマランヨットで暮らしながら、自動車の海外グローバルビジネスをテレワークで勤務しながら、世界を巡航しました。

プロローグ

私は、プリンセストレーディングの代表を務める今井祥恵といいます。

旅の始まりは、フランスからでした。

妹と2人で世界巡航しようと計画していたヨットの造船所がフランスに在ったからです。

そのヨットは、私がフランス語で造船所にオーダーしました。一応、私は国立ではないですが私立の医大卒なので、フランス語も話せます。

ちなみに、妹は国立の医大を卒業、2年間だけ通ってから美大に転校しました。いや、だから妹は卒業はしていないか。

私からのオーダーを受けて、フランスの造船所では、私たち2人の乗るヨットの建造をスタートしました。造船所の建造が終わり次第、私たち2人の旅はフランスから始まります。

旅の始まりは、フランスからでした。

ヨットが完成したよという連絡が、フランスの造船所から入ると、私は、妹を連れて日本からフランスへの飛行機で旅立ちました。飛行機は、パリの国際空港に到着しました。

ここから造船所の在る南フランスまでは、レンタカーを借りて向かいます。車を運転するのは私、そのために日本にいる時に国際免許も取得してきました。

「お姉ちゃん、フランス語を話せるんだね」

私がレンタカーの受付のお兄さんとフランス語で話しているのを眺めていた妹に言われました。

私は、無職になってしまった妹のために、自動車の輸出会社、プリンセストレーディングを起業しました。起業のきっかけは、医大を卒業後、父の経営する歯科医院で歯科医として勤務していましたが、

「開業医は、病院経営も学んでおきなさい」

父にそうアドバイスされて、ちょうど経営について学んでいた時でもあったため、その勉強のつもりもあって、プリンセストレーディングを起業したのでした。

私が起業したプリンセストレーディングは、うまく業界の波にも乗れ、順調に業績を伸ばしていました。最初は、無職になってしまった妹のために起業したプリンセストレーディングでしたが、今では従業員も何名か雇うまでの会社に成長しました。

妹は、ずっと横浜の貿易会社に務めていました。世田谷の自宅から横浜まで、母の愛用していた小型のベンツを運転して通勤していました。ですので、妹も車の運転はできます。

東京から横浜まで毎日、車を運転して通勤していたぐらいですから、妹もさぞかし、その横浜の貿易会社の仕事が気に入っていたのでしょう。

横浜の貿易会社は、自動車を海外へ輸出する会社でした。そこで、妹はWEBデザイナーの仕事をしていました。その会社が閉社して、妹が無職になってしまった時、この会社と同じような業種の会社を起業してあげたら、妹も喜んで、またニートから社会復帰してくれるのではないかと考えて、プリンセストレーディングを起業しました。

プリンセストレーディングのプリンセスは、どう見ても男勝りな私のことではなく、私の可愛い妹のことをイメージして名付けました。

「ゆみは、何かしたいことある?」

妹にそう聞いたとき、

「ヨットで世界旅行したい」

そう答えた妹の言葉が、妹とヨットで世界を巡航することになったきっかけでした。

はじめまして、今井ゆみです。

私の姉が起業したプリンセストレーディングは、長野に本社が在ります。私たちの亡き祖父母が暮らしていた長野の実家がプリンセストレーディングの本社になりました。

姉は、東京の、父の歯科医院にて歯科医として勤務しています。私も大好きな母と離れて1人暮らしなんか、21歳にもなってお母さんと離れて1人暮らしもできないなんてと言う人もいるけど、とてもじゃないけどできません。東京から長野の事務所に、リモートでアクセスして在宅勤務しています。

普段から、東京の自宅からプリンセストレーディング長野本社にリモートでアクアセスし勤務しているため、世界巡航中のヨットの中からプリンセストレーディング長野本社にリモートアクセスして勤務することだって何の問題もありません。

そのために、2人のヨットの船内には、インターネットができるようにワイファイ設備がしっかり完備されています。

あなただって、医大で習ったじゃないの

ぜんぜん覚えてない

妹は、私の運転するレンタカーの助手席に腰掛けながら、私に返事した。

私、医大に通ってたの2年間だけだし

2年も通ってたら、少しは話せるはずよ

私は、車を運転しながら、妹に言った。

パリの街が遠ざかっていく・・

妹は、車窓から見えるパリの市街が遠ざかっていくのを眺めながらつぶやいた。

パリの街も少しは観光したかったな。

窓から遠ざかっていくパリの市街を眺めながら、妹は私につぶやいた。

パリには、すぐ戻ってくるから大丈夫よ。

戻ってくるの?

うん。今度は自分たちのヨットに乗ってね。

私は、妹に返事した。

今日中には、造船所までは辿り着けないので今夜はどこかのモーテルで一泊して、造船所には明日の到着予定だった。